研究大会成果報告

第25回 令和元年度(秋季)研究大会の報告

投稿日時: 2020/08/20 SysAdmin

令和元年度(秋季)研究大会の報告 

 

日本防衛学会令和元年度(秋季)研究大会は、防衛大学校の協力を得て、 11 30 日(土)午前 10 時から午後 18 20 分まで、 社会科学館大教場及び人文科学館 111 番教室において開催しました。(参加者数 140 余名)

これまで秋季研究大会は、金曜日の午後から土曜日夕方の二日間にわたって行ってきましたが、今回は開始時間を早め、全体の時間を調整して一日の開催としました。

 

午前の部( 10 00 12 00 )では 、同時間帯に部会1「多次元統合防衛力を捉える視点」並びに部会2「自由論題」の二つの研究部会を行いました。

 

部会 1 では、防衛大学校防衛学教育学群に所属する研究者を中心に、平成 30 12 月の国際安全保障会議・閣議で決定された新防衛大綱において新たな課題となった「多次元統合(マルチ・ドメイン)防衛力」をどのように捉えどう構築すべきかについて、報告・討論が行われました。 部会 2 では、報告「公募」に応募した会員による安全保障に関する個別的かつ専門的な報告がなされました。両部会ともそれぞれ討論者及び並びにフロアからの積極的な質疑応答が行われ、熱のこもった研究部会となりました。

午後の部( 13:00 18:20 )は 、前半に研究報告会として部会3、部会4の二つの部会を同時間帯に行い、後半は社会科学館大教場において共通論題部会を実施しました。引き続き同会場で臨時総会、続いて第 5 回猪木正道賞発表・授賞式を挙行いたしました。

 

午後の研究部会( 13:00 15:00 )の 部会3 では、「新時代の防衛力整備」をテーマに、下平拓弥、小野圭司、佐道明広の 3 名の研究者から、人工知能( AI )の発達やそれに伴う安全保障環境が変化する中でのこれからの防衛力整備の在り方についてそれぞれに報告があり、その後、政軍・官軍・政官関係、統合作戦としてドメインをどのように使うのか、AI化の技術的可能性や民間依存の課題など、幅広い視点での質疑が交わされました。

部会4 では、「中東/ペルシャ湾の安全保障と自衛隊の協力」をテーマに、中東地域の安全保障問題に造詣の深い、川上康博、鈴木一人、池内恵の 3 名の研究者からそれぞれの視点から報告がなされ、続いて討論者及び司会者を加え、現在中東地域の状況と自衛隊が派遣された場合の課題等について活発な質疑応答がなされました。

 

 後半の 共通論題部会 15:10 18:15 )「同盟協力―信頼と不安」では、研究大会の締め括り部会として、日米関係と中東地域研究者である磯部晃一、中山俊宏、保坂修司の 3 名による報告者に加え、討論者に村井友秀会長が参加して、「アメリカ・ファースト」を標榜するトランプ政権との同盟関係の“信頼性と不安”について、鋭い論議がなされました。

共通論題部会の内容については、機関誌『防衛学研究』第 62 号に掲載する予定です)

 

臨時総会に続き、 17:50 08:15 の間、 《第5回日本防衛学会猪木正道賞の発表・授賞式》 が挙行されました。五百旗頭眞猪木正道賞基金理事長の挨拶の後、田中明彦猪木正道賞選考委員長から第 5 回猪木正道賞受賞者の発表と受賞作品に対する講評が行われました。

5 回猪木正道賞の受賞者と受賞作品は、次の通りです。

・猪木正道賞 小此木政夫著『朝鮮分断の起源:独立と統一の相克』

・同 特別賞   磯部 晃一著『 トモダチ作戦の最前線:福島原発事故に見る日米同盟の教訓』

(*第5回猪木正道賞授賞式の詳細については、猪木正道賞基金のホームページをご覧下さい。)

講評後、日本防衛学会村井友秀会長から受賞者に、それぞれ賞状と賞金が授与されました。

 

授賞式の後、日本防衛学会会長による閉会の挨拶があり、会場を防衛大学校の本館 1 階大会議室に移し、 18 30 分から「意見交換会・懇親会兼猪木正道賞受賞祝賀会」を行い、 19 45 分に散会となりました。